美術の図書室 

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「モデル募集」

 田舎から 東京に引っ越して来た。まだインターネットの普及してない頃。
地元の田んぼだらけな所では、変人扱いされるので善意ある無視がある都会に憧れた。
知人もなく、安アパートをアトリエ代わりにしている。美大は中退した。
バイトも飯食うためには欠かせない。


 男一人の食事などセレブのペットの餌以下だ。彼女も友人もなし。孤独だが自分の時間は失いたくない。
バイトは案外稼げる業種である。


 ある日、ポストにデリヘルのチラシがあったので、試しに電話した。来た女性は自分より若い大学生風だった。淡々と事終えて時間が来たが彼女は帰ろうとしない。


そして時間が流れ そんな事も忘れた頃、デリヘルの娘が呼んでないに来た。彼女曰く「私は実は近所に住んでるんだ〜」と言って、すこしおしゃべりした。
それから彼女は頻繁に私のアパートに遊ぶに来るようになった。もちろん性的な事はない。デッサンのモデルなどもしてくれた。


 また時間が流れ、彼女とは半ば同棲生活が始った。彼女は相変わらず仕事してて、僕より稼ぎはいい。結果、僕は彼女のヒモになった。(よくわからないなぁ〜都会人の行動は。)


そんなアンニュイな生活も 突然終わった。僕がいない間に荷物持ち出し、置き手紙に"さようなら"とだけ残して。




月日は流れ僕はそこそこの売れる画家になった。


個展も定期的にするようになった。ある日の個展で どこかで見かけた顔を目にした。その人は会場を一周し深々会釈して帰っていった。
 後で思い出した その女性が昔同棲して彼女だと言う事を。


「もし次があるなら、僕は君の手を永遠に離さないだろう!」

No title.

(a day with : )Marino

パロディー。